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離婚裁判の本人尋問のポイントとは?

更新日:2019年10月15日
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夫婦の話し合いによる離婚の「協議離婚」が成立しなかった場合、家庭裁判所にて「離婚調停」という第三者を含めた夫婦の話し合いを行います。
離婚調停を行ってもなお離婚が成立しなかった場合は「離婚裁判」を行って離婚をすることになります。

ここでは離婚裁判のうち主に口頭弁論で行われる「本人尋問」のポイントについて解説していきたいと思います。
 

離婚裁判の流れ


まずは離婚裁判の流れについて確認していきましょう。

家庭内の紛争などの家庭に関する事件(家事事件)についてはまず家庭裁判所に家事調停の申し立てをしなければならないとされています。
これを調停前置主義と言って、原則として離婚裁判も家事事件に含まれますので調停を経なければ裁判をすることはできません。

そのためまずは調停をすることが前提となります。
調停を行っても話し合いがつかなかった場合は家庭裁判所に訴えを提起します。

①訴えの提起をする
訴える先は離婚裁判の当事者である妻又は夫の住所地を管轄する家庭裁判所です。
訴えを提起する際には
・訴状2通
・離婚調停不成立調書
・夫婦の戸籍謄本及びコピー
・源泉徴収票などの証拠 等
といった書類が必要です。

訴状には離婚そのものについてだけでなく、財産分与や子供の親権・養育費、慰謝料など求める判決の内容と理由を記載します。

②第1回口頭弁論期日の指定が通知される
訴えが認められたら家庭裁判所から第一回口頭弁論の期日が指定されます。期日は訴えを提起してからおよそ1か月後に指定されることが多いようです。
口頭弁論とは、双方の当事者または訴訟代理人が裁判官の前で意見や主張を述べ合ったり証拠を提出したりするなどして攻撃防御をする訴訟行為のことです。

期日指定の通知は「口頭弁論期日呼出状」と言って、訴状のコピーと共に当事者双方に郵送されます。
被告側には「答弁書」も送付されます。答弁書は訴状に対して反論するものです。

 ③第1回口頭弁論
第1回口頭弁論の期日には原告・被告(もしくは双方の弁護士などの代理人)が出頭します。
そこで家庭裁判所に提出されていた訴状や答弁書などの内容をもとに何が争いとなっているのかを整理します。
その争いについて、まずは原告から争いの事実の証拠を提出します。
それに対して被告から原告の主張を否定する証拠を提出します。
この口頭弁論の中で行われるのが「本人尋問」です。本人尋問では訴訟の当事者が法廷で話を聞かれます。具体的には自分の弁護士からの質問に答えていく形で、自分の主張をしていくことになります。

この繰り返しが約1ヶ月に1度のペースで行われ第2回、第3回…と続いていきます。
裁判官が判決を下すために十分だと判断されれば口頭弁論が終了し、判決が下されます。期間は早くても半年で、平均としては1年ほどかかるようです。

本人尋問のポイント①「弁護士と打ち合わせてシミュレーションをする」

離婚裁判を行うと決まった時点で法律の場に立つため、また確実に自分の主張を伝えていくために弁護士に依頼する人がほとんどだと思います。

そのため本人尋問は弁護士と行うということをベースにお話をしていきます(弁護士がいない場合も本人尋問はありますが、裁判官が行うそうです)。

本人尋問は申請をすることによって行われます。
よほど例外的に尋問をする必要が無い場合を除いて、本人尋問の申請は採用されるようです。
また、本人尋問は原告が行う原告本人尋問と被告が行う被告本人尋問があります。

何故本人尋問を行うかということですが、当事者同士の意見が食い違っている場合に提出された証拠だけで判断することが難しい場合や自分の主張を補強したい場合などに、直接当事者から話を聞くために行われます。
そして本人尋問では
 ・主尋問…自分の弁護士からの尋問
 ・反対尋問…相手方弁護士からの尋問
が行われます。

本人尋問は双方の弁護士が原告・被告に対して尋問を行います。
 当事者双方が本人尋問を申請した場合は次のような流れになります。
 ①原告本人尋問(原告が尋問に回答する)
  主尋問
   ↓
  反対尋問
   ↓
  再主尋問
   ↓
  再反対尋問
   ↓
  充尋問(裁判官からの尋問)

②被告本人尋問(被告が尋問に回答する)
  主尋問
   ↓
  反対尋問
   ↓
  再主尋問
   ↓
  再反対尋問
   ↓
  補充尋問(裁判官からの尋問)

 このような流れになっています。
主尋問では自分の味方である弁護士から尋問がされ、反対尋問では敵である相手方の弁護士から尋問がされます。
主尋問はいわゆるお芝居みたいなもので、自分の弁護士が尋問することに対して答えていくことになります。そのためあらかじめ自分の弁護士としっかりと打ち合わせをしておくことが大切なのです。
また、反対尋問では相手方の弁護士がどのような尋問をしてくるか予測してどうこたえるかを考えておく必要があります。

この本人尋問によってどれだけ自分がしてきた主張を補強することができるか、相手の主張を覆すことができるのかということが重要なのです。
そのため事前に自分の弁護士としっかりと準備を進めておくこと、本人尋問の流れをイメージしておくことが大切です。ハッキリ言ってしまうと弁護士の腕にかかっていると言っても過言ではありませんので、弁護士選びも大切なポイントです。

本人尋問のポイント②「嘘をつかずに、言われたことだけに答える」

本人尋問の目的がはっきりわかってきましたね。
では次は判決を下す裁判官に自分の主張を認めてもらうために、実際の本人尋問の場で注意すべきポイントをチェックしていきましょう。

 ●時間を守る
  時間を守るというのは大人として最低限のマナーですが、特に本人尋問がある口頭弁論の日は必ず時間を守るようにしましょう。
  時間を守らない人だというレッテルを貼られてしまったらその時点で裁判官の心証は良くありません。
  本人尋問の前には宣誓書に記名押印をするなどの作業もありますし、遅れたことによって自分が緊張した状態になってしまうことも良くありません。
  いずれにしても余裕をもって裁判所に行くことがベターでしょう。

  もうひとつ、大人のマナーとしてもう一つ気にかけておきたいのは身だしなみです。
  「えっ、いまどきそんなこと言うの?」と思っている人は要注意かもしれません。正直金髪でチャラチャラした身なり・話し方をしている人よりも、黒髪できちんとした服装でハキハキと話す人の方が印象が良いのは確かなのです。
  黒髪スーツで…とまではいかなくても、身だしなみはきちんと整えておきましょう。

 ●嘘をつかない
  本人尋問の場では絶対に嘘をつかないようにしましょう。
  まず嘘をついたら民事訴訟法第209条の「虚偽の陳述」に当たりますので、過料を科せられてしまう可能性があります。
  とは言え実際に過料まで科せられるケースは少ないのですが、嘘の内容が反対尋問で矛盾が生じた場合どうでしょうか。自分が不利な立場になっていくことは明らかです。
  本人尋問では「これぐらいの嘘は大丈夫だろう」と嘘を言うケースが意外と多くあるようですが、やめておきましょう。

 ●尋問を良く聞いて答えるだけ
  本人尋問では自分の思いをたくさん伝えようとあれこれと口にしてしまうようですが、これはマイナス要因です。
  本人尋問を受けている間は弁護士からされた「尋問」に対して「答える」ということだけをするのがポイントです。
  尋問が聞き取れないのに答えてしまって答えになっていない、答えたが余計なことまで言ってしまうといった事をしてしまうと、裁判官や相手の弁護士から注意を受けてしまうこともあります。心証も悪くなっていきます。

  冷静に尋問を聞いて、それに対して答えるということを忘れないでください。

本人尋問のポイント③「自分が不利になるような発言はしない」 

 相手の弁護士は、当然相手の要求通りに事が進むように裁判を進めていきたいはずです。そのため、反対尋問では原告から言わなくても良いことを引き出そうとする内容や腹が立つ内容の尋問がなされることがあります。
 自分に不利な発言を引き出されないよう注意して答えることが大切です。
 また、腹が立つ内容の尋問がされたとしても冷静に答えましょう。カッとなって反論しようとしても「ハイかイイエだけで結構ですので」とあしらわれてストレスをためてしまう結果になることはよくあることです。
 こうなることも見据えて、常に冷静な状態を保っておくことを心がけましょう。

まとめ

 離婚裁判では口頭弁論が行われます。
 その中で必要に応じて本人尋問が行われます。
 本人尋問は提出された証拠だけで判断がつかない場合や主張を補強したいときに行います。
 本人尋問をする際のポイントは自分の弁護士とのしっかりしたシュミレーション、時間や身だしなみ・嘘をつかないなどのマナーを守ること、常に冷静でいること等が挙げられます。
 まずは自分に合った、離婚問題に強い弁護士を探すことが大切です。
 初回の相談を無料で行っている弁護士や法律事務所は多くありますので、一度気軽に相談してみましょう。

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離婚慰謝料弁護士ガイド 編集者

離婚問題に関する記事を専門家と連携しながら執筆中 離婚問題でお悩みの方は是非参考にしてみてください。 また、お一人で悩まれているなら一度弁護士へのご相談を強くおすすめ致します。 今後も離婚問題に関する情報を多数発信して参ります。

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