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歪んだ愛が生み出す「離婚後ストーカーの恐怖」のアイキャッチ

歪んだ愛が生み出す「離婚後ストーカーの恐怖」

歪んだ愛が生み出す「離婚後ストーカーの恐怖」のアイキャッチ

☆写真入れる:camera

 「時にぶつかりながらも、お互いが納得し、その門出を尊重したはずなのに…。」それなのに、なぜか、ストーカー化してしまう元配偶者が後を絶ちません。自分だけならまだしも、自分が親権者の時、子どもにまで被害が及びそうで、その恐怖心は拭うことが出来ません。
 そこでこの記事では、ストーカー化してしまった元配偶者の精神状況から防御法まで、幅広くお伝えしていきたいと思います。

ストーカー規制法とは

 警視庁では、ストーカー規制法の下に、ストーカー被害をなくすべく尽力しています。ストーカー規制法とは、「つきまとい等」を繰り返すストーカー行為者に警告を与えたり、悪質な場合は逮捕することで被害を受けている人を守る法律です。
 そしてこの法律による規制の対象となるのが、
1.「つきまとい等」
2.「ストーカー行為」
の2点です。

1.「つきまとい等」

 「つきまとい等」とは、恋愛感情等が満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、対象者やその家族に対して行う以下の8つの行為です。

①つきまとい・待ち伏せ・押し掛け・うろつき
 尾行してつきまとう、行動先で待ち伏せる、職場に押しかける、自宅近辺をうろつく
②監視していると告げる行為
 相手の行動を告げて監視していることを気づかせる、帰宅直後に電話がかかってくる
③面会や交際の要求
 交際や復縁等を求めてくる、贈り物を受け取るように要求する
④乱暴な言動
 大声で怒鳴る、死ね等の乱暴な言葉やメールをする
⑤無言電話、連続した電話、ファクシミリ、電子メール・SNS等
無言電話をかけてくる、拒否し続けているにも関わらず何度も電話をかけてくる
⑥汚物などの送付
 汚物や動物の死体等を自宅や職場に送りつける
⑦名誉を傷つける
 中傷したり名誉を傷つけるような内容を告げたりメールを送る
⑧性的しゅう恥心の侵害
 わいせつな写真を送りつける、電話や手紙で卑猥な言葉を浴びせる

ストーカー写真撮影

2.「ストーカー行為」

 同一の者に対し「つきまとい等」を繰り返して行うことを「ストーカー行為」と規定して、罰則が設けられています。
 ですが、ストーカー被害を相談しても警察が動かず、その結果、殺害される等悲惨な事件が起きているのが現状です。
そのためか、警察も以前と比べれば相談を無下にされませんが、「法で規制するストーカーには該当しない」と判断し、警告すらしてくれないケースが多いです。

ストーカーの現状

 「ストーカー」と聞くと、若い独身の女性に起こりがちなケースかと思われるかもしれませんが、実は、離婚後に元配偶者がストーカー化してしまう、ということは少なくありません。
 ここから、警視庁のデータを元にストーカーの現状を見ていきます。

ストーカー行為等相談受理数

 平成28年のストーカー相談件数は2,586件で、前年比32.1%増です。

相談者の性別

平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年
女性 1,231 1,276 1,879 1,688 2,172
男性 206 190 325 289 414
統計 1,437 1,466 2,204 1,957 2,586

このように、被害者はほとんどが女性で、また、女性のストーカーが年々増加していることも分かります。

相談者の年齢

ストーカー相談者(年代別)平成28年
警視庁調べ

 やはりと言いますか、20代が突出しています。ですが、現代の結婚適齢期と勘案してみると、30代と40代で1,000件を超えるので、結婚後、離婚後、ということも考えられます。

行為者の年齢

ストーカー行為者(年代別)平成28年
警視庁調べ

 僅差ではありますが、30代がトップとなりました。しかし、年齢が割れているということ自体はある意味安心で、400件以上ストーカーの年齢が不明だということに恐怖を覚えます。

行為者と相談者の関係

平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年
元交際相手 892 823 1,320 1,050 1,254
知人関係等 141 159 230 230 329
職場関係 92 105 194 218 273
面識なし 114 107 137 100 214
配偶者(元を含む) 69 76 108 76 100
その他 103 173 163 245 313
不明 26 23 44 38 103

 「意外と配偶者は少ない」と感じた方もいらっしゃると思いますが、各々の項目の母体数で考えると、基本的に配偶者は1人だけですので、その件数は少なくはありません。

離婚とストーカー

 ではここから、離婚後に元配偶者がストーカーとなる変遷を見ていきます。

ストーカー化してしまう心理

 元夫とはいえ、離婚した今は赤の他人です。そんな人がストーカー行為をしてきたら、「異常」です。
 ストーカー心理としては、いくら「復縁はしない」「もう会いたくない」と言っても全く伝わりません。むしろ、「きっかけさえあればもう一度」「僕/私のことが好きなのに照れている」と、危険な思い込みをしてしまうのです。

ストーカーになりやすいケース

 元配偶者がストーカー化しやすい2つの原因があります。それは、
1. 離婚裁判で離婚した

⇒協議離婚や調停離婚の場合は、お互いが合意したうえで離婚をするため、双方が納得しているケースが多いです。
 一方、裁判離婚の場合は、裁判官の判決により離婚が決められるため、どちらか、あるいは双方が納得のいかないまま離婚に至ることが多くなります。
 すると不満を抱いた元配偶者が、ストーカー行為に及ぶ可能性が高くなるのです。

2. もともとDVやモラハラをされていた。

⇒ストーカーと共通するのが「他者を支配しようとして暴力的手段を積極的にとる」点です。
 ストーカーの場合は直接的な暴力は受けませんが、そのような元配偶者が近くにいるというだけで恐怖心は募り、精神的暴力を受けると言っても過言ではないでしょう。

元配偶者のストーカー対策

 ストーカーの中でも、実は、「元配偶者」が相手の場合、対策が難しいのです。ここでは4つの障害を挙げていきます。
1.警察からの抵抗
2.逆恨みの可能性
3.子どもを通じた繋がり
4.処罰が弱い

1.警察からの抵抗

 警察へ相談する場合、最も多いのが、「あなたはどうしたいのですか?」という質問です。「刑事告訴」「文書による警告」「口頭注意」「様子をみる」から選ぶことになりますが、この時に、警察にアドバイスを求めてはいけません。
 アドバイスを求める余裕があれば、「(元配偶者だし)様子をみるのはいかがですか」と言われてしまう可能性が高いからです。

2.逆恨みの可能性

 本人には、ストーカーであるという認識はないため、突然ストーカー扱いすると逆上してしまう可能性があります。
 ここでも、民事不介入との原則を盾に、警察は率先して解決することに対して積極的ではありません。

3.子どもを通じた繋がり

 子どもがいる場合、事態はさらに厳しくなります。なぜなら、子どもは元配偶者との面会購入権を理由に、自分との接触を完全に絶てなくなるからです。
 それを嫌って刑事告訴、ストーカー規制法、といった法的手段に出ると、元配偶者は職を失う可能性も出てきます。すると収入が目減りして、養育費を支払ってもらえなくなります。
 元配偶者を警察に突き出すのは、自身も覚悟が必要です。

4.処罰が弱い

 ストーカー規制法による刑罰は、「6月以下の懲役または50万円以下の罰金」です。つまり、やっと逮捕されたとしても、罰金刑だけで済まされることがあるのです。
 ストーカーと呼ばれ、逮捕され、罰金を支払う…このような状況に陥った元配偶者は、次に何をしでかすかまったく分かりません。

ストーカー暴行

元配偶者がストーカーになったら

 ここまでストーカー被害の悲惨さをお伝えしてきましたが、では、こちらはどうしたら元配偶者から逃げられるのでしょうか?

基本編

○相手にしない
ストーカー行為に反応すると、元配偶者は勘違いをし、行為がエスカレートする危険性があります。何があっても無反応を貫き通しましょう
○非通知拒否設定をする
 着信や携帯電話のアドレス、PCのアドレス、SNS、会社のアドレス等、すべての情報をシャットアウトしましょう。
○証拠をとっておく
 これは、万が一警察や弁護士を頼った場合において非常に有効です。メモは細かれれば細かいほど、信憑性が増します。
○相談する
 特に、身近な人がいいでしょう。元配偶者から何をしてくるか分かりませんし、こまめに連絡を取り合う人がいれば、いざという時にも頼りになります。
 但し、異性に相談するということはやめましょう。相手の逆鱗に触れる恐れがあります。
○「婚姻届け不受理申出書」
 元配偶者がストーカー行為をするのは、離婚に納得していないからです。執拗に復縁を迫られているのであれば、勝手に婚姻届を提出されないよう、「婚姻届け不受理申出書」を本籍地の市区町村役場に提出しておけば安心です。

自宅編

○出来るだけ1人で外出しない
 ストーカーに危害を与えられる可能性も否定できません。自身はもちろん、子も出来るだけ1人では出かけないよう呼びかけておきましょう。

○ゴミ出しに気を付ける
 ゴミの中身は個人情報の山です。シュレッダー等を使い、被害を食い止めましょう。

○自宅の鍵を替える
 合鍵で侵入される危険性があります。離婚時に鍵を返された場合でも、鍵は付け換える方がよいでしょう。

○盗聴器チェックをする
 離婚前に住んでいた家には、盗聴器が仕掛けられている可能性があります。自分でチェックできるものも売られていますので、一度試してみると安全が確保出来ます。

○防犯カメラを設置する
 家の中に入れないとなると、外から何かしでかすかもしれません。防犯にも使えるので、ぜひ設置しましょう。

終わりに

 愛がなくなったがために離婚したはずなのに、元配偶者の歪んだ愛情がストーカーを生むということは、ある意味悲しい結末です。ですが、だからといってストーカーという犯罪が赦されるということではありません。
 もし少しでも自分の身に危機を感じたら、警察に相談する等心がけてください。但し、上述のように警察の捜査には限界があります。その場合は、弁護士に頼ってストーカー規制法で守ってもらいましょう。

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編集部

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