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金銭問題を理由に離婚する場合の注意点

更新日:2019年11月19日
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金銭問題は離婚理由になるのか

 まず、離婚には3つの種類があります。
 離婚の約9割は「協議離婚」と言って、夫婦の話し合いによって離婚をします。協議離婚が成立するのであれば、どのような理由であれ離婚をすることが可能ですので、協議離婚の場合は金銭問題も離婚理由になるということになります。

 協議離婚が成立しなかった場合は家庭裁判所で調停委員などの第三者を交えて話し合い(離婚調停)を行い、離婚を成立させることになります。これを「調停離婚」と言います。調停離婚も協議離婚と同様、調停が成立するのであればどのような理由でも離婚をすることが可能ですので金銭問題は離婚理由となるということになります。

 離婚調停も成立しなかった場合は家庭裁判所で離婚裁判を行い、その審判をもって離婚する「裁判離婚」となります。
 離婚裁判を行う際には“法定離婚事由”が必要となります。
 法定離婚事由とは民法第770条に定められた次の5つの条件で、このうちのいずれかの条件を満たす必要があります。

1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

1は不倫や浮気などの不貞行為で、3や4はその内容のとおりなので、金銭問題はこれらの事由には該当しません。
 つまり、2と5のどちらに該当する内容なのかということが問題になってくると思います。

 2の“悪意の遺棄”というのは正当な理由なく民法第752条に定められている義務(同居・協力・扶養義務など)を履行しないことを言います。金銭問題がこの悪意の遺棄に該当する主なケースとしては“生活費を渡さない”という問題です。

 5の“その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき”に認められるためには、金銭問題が原因で結婚生活が破綻していると判断されなければなりません。
 そのため『配偶者が借金しているから離婚したい』という程度では認められないということになります。具体的には『借金が原因で夫婦関係が破綻したため別居をして長時間経過している』ケースや『配偶者の借金によって借金取りが家に来るなどの理由によって家庭が崩壊している』といったケースなどが離婚事由の5に該当すると考えられます。

 最終的に離婚裁判を行うとなっても、きちんと離婚事由に該当していれば金銭問題は離婚理由になるため、結論としては“金銭問題は離婚理由になる”ということになります。

慰謝料の請求は可能なのか?

 離婚慰謝料は、配偶者から受けた精神的苦痛に対する損害賠償として受け取ることができる金銭のことです。
 そのため配偶者に非があることが前提となりますので、配偶者が不貞行為を行っていた、DVやモラルハラスメントなどの暴力などがあった場合は慰謝料が請求できるということになります。

 では、金銭問題で離婚をする場合に慰謝料を請求できるのかどうかという点ですが、請求することは可能です。話し合いで慰謝料を支払うという内容に合意があれば、当然慰謝料の請求をすることになりますが、裁判をして慰謝料の請求をするのであれば例えば“借金のせいで婚姻生活が破綻したことによる精神的苦痛”に対する損害賠償として慰謝料を請求するといったケースなどがこれに該当します。

 しかし、金銭問題の主な理由である「借金がある配偶者」に慰謝料を支払う能力があるかというと、無いパターンがほとんどではないでしょうか。
 もし慰謝料を認められたとしても、自己破産をされてしまえば慰謝料は免責されてしまいますし、慰謝料の支払いが滞ったとしても財産が無い相手に差し押さえをすることもできません。

 つまり、慰謝料の請求をすることはできても慰謝料を手にすることができるかどうかわからないということになります。
 慰謝料の相場は50万円~300万円と言われていますが、金銭問題による離婚の場合はもらえないと考えておいた方が良いかもしれません。
 少しでももらいたいという場合は弁護士などに相談や依頼をしてみると良いのではないでしょうか?

離婚前に注意しておくべきこと

 金銭問題を理由に離婚をする場合、注意しておくべき点が2つほどあります。
 まずは借金が「生活のための借金」だった場合です。
 例えばマイホームやマイカーなどのローンや生活費を補うために背負った借金などがこれに当たります。
財産分与(詳細は後述します)を行う際には財産を半分に分けるのですが、借金についても同じく半分に分けることになります。そのため仮に妻が多額の借金を背負っていたとしても、それが足りない生活費を補うための借金だったとしたら、夫はその借金を半分背負うことになるのです。

ではその借金が生活費などではなくギャンブルなどに使うための借金だとしたら、それは当然個人的な借金になりますので折半する必要ありません。
しかし、そのギャンブルのための借金などの“連帯保証人”になってしまっている場合は借金の返済義務が生じます。連帯保証人=債務者ですので、離婚したとしても返済義務から逃れることはできません。

このように離婚をしても借金問題から逃れられなくなる可能性があります。
生活のための借金としてマイホームのローンを組んだとしても、離婚後その家は配偶者に渡すのに支払い続けたくない、連帯保証人になった記憶が無い…など、借金問題のトラブルを抱えてしまっている場合は、まず借金などに詳しい弁護士に相談してみましょう。

財産分与について

 さて、では先ほど少し触れた財産分与についてです。
 財産分与とは婚姻期間中に夫婦が協力して築き上げた財産を、離婚時に(原則として)半分に分け合うことを言います。
 マイホームを持っている場合は名義が夫になっていたとしても、妻はその価値の半分を支払ってもらうことが可能です。

 金銭問題で離婚をする場合は慰謝料などを支払ってもらえないことを考慮して、配分を多くしてもらうこともできます。
 金銭問題で離婚をするということは貯蓄が少ない可能性が高いと思います。
 その場合は借金を背負わない代わりに貯蓄ももらわない、などと取り決めをすることもできます。

わからないことは弁護士へ相談

 金銭問題は後々トラブルになる可能性が高い離婚理由の一つと言えます。
 慰謝料の請求ができる可能性が低く、借金を折半しなければならない可能性があり、財産分与ができるかどうかもわからない。夫婦生活を送っている時点でお金のことでもめて離婚することを決めたのに、離婚後も苦しめられることになってしまうかもしれないのです。

 これらの問題を後に残さず離婚をするためには、法律の専門家である弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
 離婚をするにあたってのお金のことから、離婚後の生活がどのように変わるかなどまで様々なことを相談することができます。
 無料相談を行っている事務所なども多くありますので、まずは一度気軽に相談してみてはいかがでしょうか?

まとめ

 離婚には協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3つがありますが、金銭問題はどの離婚の種類でも離婚理由になります。しかし裁判離婚をする場合には離婚事由に当てはまるかどうかがポイントとなります。
 離婚慰謝料の請求をすることは可能ですが、金銭問題を抱える配偶者にお金があるとは考えにくく、慰謝料をもらえる可能性は低いと考えられます。
 財産分与はプラスの財産だけでなくマイナスの財産も含めて夫婦の財産を分け合うことになりますので、背負っている借金が生活のためである場合は借金を折半することになります。また、借金の連帯保証人になっている場合は離婚後も借金から逃れられることはできない可能性があります。
 金銭問題の離婚はトラブルがつきものです。わからないことや悩んでいることがある場合はまず弁護士などに相談してみましょう。

 ここまでお読みいただきありがとうございました。

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離婚慰謝料弁護士ガイド 編集者

離婚問題に関する記事を専門家と連携しながら執筆中 離婚問題でお悩みの方は是非参考にしてみてください。 また、お一人で悩まれているなら一度弁護士へのご相談を強くおすすめ致します。 今後も離婚問題に関する情報を多数発信して参ります。

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