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熟年離婚後に気になる財産分与の対象は?

2018年09月11日 公開
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 数十年ともに生活してきた夫婦が別々の人生を歩むことになる熟年離婚。
 近年は珍しいことではなくなりました。

 しかし離婚は結婚する時よりも数倍のパワーを使ってさまざまな問題を話し合っていかなければいけません。
 その中でも特に気になる問題、そして揉めやすい問題が財産分与に関することです。

 この記事では、熟年離婚にあたって、どういった財産が財産分与の対象になるのか、財産分与を話し合う上での注意点について紹介します。

離婚における財産分与の対象は?

 離婚における財産分与とは、婚姻生活の間に夫婦で築いた財産を共有財産とみなして分けることをさします。
基本的には、対象の共有財産をすべて半分ずつ分けます。

 財産分与の対象となるのは、預貯金の他に住宅や土地などの不動産、生命保険や学資保険、株式、自動車、退職金、などです。

また、住宅ローンなどの借金もマイナスの資産として夫婦で半分ずつ分与することになりますから、前述したプラスの財産と相殺して計算します。

退職金の財産分与

「退職金は自分が働いた労働に対する手当なのに財産分与しなければいけないのか?」という声は少なくありません。

 確かに退職金とは労働者本人に対して支払われるものです。

 しかし、婚姻生活中の労働による収入は夫婦で得たもので、離婚しなければ夫婦2人の収入になっていたものですから、離婚することになれば共有財産として財産分与の対象になります。

退職金は、勤続期間による積み上げで増加していくという性質の収入ですから、勤続期間のうちどれだけ婚姻期間があったかを考慮して算出します。

ただし、離婚成立前に夫婦が別居している場合は、育児や生活費の負担といったそれぞれの状況を考慮した上で別居期間を婚姻期間に含めるかどうかを判断することになるでしょう。

退職金をすでに受け取っているのなら、金額がはっきり分かるので原則は半分ずつ分与します。

退職金を受け取ってから長期間経っていると残額によって分与額に影響が出るイメージがありますが、実際には残額は重要ではなく、受け取った退職金の金額を元に算出することになります。

 これから退職金を受け取る予定の場合は、退職時期まで10年未満であればほぼ確定的に退職金を受け取るという想定で分与額が計算されます。
離婚時に退職して退職金を受け取るという過程で計算する方法や、退職時期が近ければ退職して実際に退職金を受け取った時点で財産分与するといった方法があります。
 

年金の財産分与

 従来は、年金は財産分与の対象として取り扱われていました。

しかし平成19年に年金分割制度が施行されたため、年金は財産分与としてではなく、年金分割という単独の問題として取り扱われるようになりました。

年金分割とは、婚姻期間中に記録された厚生年金の保険料納付記録にもとづいて夫婦間で分割するというもので、合意分割と3号分割の2種類があります。

 まず合意分割とは、前述した年金分割制度にともなって、婚姻期間中に夫婦間での合意によって保険料の納付記録を分割するというものです。

夫婦間で合意が得られない時は、家庭裁判所が決めた按分割合にそって分割されます。
年金分割制度が施行された平成19年4月以降の離婚が対象となります。

もうひとつの3号分割とは、平成20年4月以降に離婚する場合に適用されるものです。
平成20年4月以降の婚姻期間の中で、夫婦のどちらかが3号被保険者だった場合、その期間について保険料の納付記録を分割するというものです。
3号分割については、夫婦間の合意や家庭裁判所による按分割合の決定なしで、年金事務所に申請するだけで分割が可能です。

年金分割の按分割合にはいくつかの制限があります。
標準報酬額が少ない方がさらに低くなる、標準報酬額が多い方が少ない方よりも低くなるといった按分割合では合意ができないことになっています。
また、3号分割については対象期間についての按分割合は1/2と決まっています。

こうした按分割合の原則を知らずに話し合いをしてしまうと不利な結果になる可能性がありますから、事前に把握しておきましょう。

不動産の財産分与

 夫婦の共有財産のうち、預貯金については分与するのが簡単ですが、金額が大きいにもかかわらず分けにくいのが単純に半分に割ることのできない不動産です。

 住宅や自動車といった物を物理的に半分に割ることはできないため、分けやすいよう売却して現金化するという方法があります。
離婚後に住宅や自動車を使う必要がないのであれば、売却してお金に変えて分与するのがもっとも早く、分かりやすい方法と言えるでしょう。

しかし引越しできない、仕事で必ず自動車が必要など、売却できないさまざまな理由がある場合も少なくありません。そんな場合は、継続して所有したいと考える方が譲り受けるという方法もあります。

 途中で解約するとかえって損になる生命保険や学資保険、個人的な思い入れがある貴金属などは譲渡という形をとることが多いです。

売却しない共有財産は、査定によって評価額を算出し、その評価額が1/2になるように分与することになります。
共有財産が夫婦どちらかの単独名義になっているケースも多いですが、婚姻期間中に築いた財産であればすべて共有財産とみなしますので、分与に影響はありません。

注意したいのは、財産分与はプラスの財産だけでなくマイナスの財産も対象となるという点です。
たとえば住宅ローンや自動車ローンが残っていた場合、財産の評価額からローンの残債を引いた金額が分与する金額になります。

財産分与にも時効があります

 離婚が決まると、慰謝料や子どもがいれば親権・養育費など多くの項目について話し合いが必要です。

財産分与も大切な項目ですが、離婚して2年間は請求できることになっていますから、慰謝料や親権などと同時進行で話し合うのが難しい場合はこれらが決着した後に話し合いを始めてもいいでしょう。

 ただし、離婚後2年間というのは排斥期間であって時効ではありません。
排斥期間とは、その期間が過ぎると権利を行使できなくなる期間をさします。

慰謝料の場合は時効が適用されるため、支払いが滞ると内容証明郵便を送ったりすることで時効の進行を一定期間停止できますが、財産分与の場合は排斥期間が適用されているのでこういった期間の停止ができないと覚えておきましょう。

 財産分与の排斥期間が迫っている中で、相手から財産隠しをされている場合は、相手の財産を正確に調査する制度として弁護士照会制度を利用する方法があります。

 財産分与に関する調停や審判を家庭裁判所に申し立てて、その手続きが確定するまでは財産分与を請求できるという決まりを活用して、確定までの間に弁護士に調査してもらいます。

弁護士との契約が必要になりますが、弁護士料よりも分与される可能性のある財産が多いのであれば、正当な権利としてきちんと相手に請求しましょう。

まとめ

 熟年離婚の場合は、婚姻期間が長い分共有財産も多いため、財産分与の結果は離婚後の生活を左右する重要なポイントです。

離婚の話し合いで揉める部分でもありますが、臆さずに主張することが大切です。
 自分では客観的な判断や冷静な交渉ができないと思う場合は、弁護士に相談して、不利にならないよう話し合いを進めていくようにしましょう。

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