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熟年離婚の財産分与のチェックポイントとは?

更新日:2019年06月04日
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最近では熟年離婚という言葉もあまり珍しいものではなくなってきました。
 離婚をする際にはお金のことで揉めてしまうことが多いのですが、特に熟年離婚の場合は若い時にする離婚よりもお金に関する内容は複雑になります。

 一体何故複雑になってしまうのでしょうか?その理由を詳しくみていきましょう。

離婚時の財産分与の対象となる財産とは

 まず、離婚をする際に対象となる財産を確認しておきましょう。
 財産分与の対象となる財産は、婚姻期間中に夫婦で築き上げた財産です。

 ●預貯金
  ⇒婚姻期間中に増えた預貯金が対象です。結婚前から持っている口座に引き続き貯金していた場合は、結婚後に増えた部分が対象となります。
 ●生命保険
 ●不動産
 ●株式
 ●自動車
 ●年金
 ●退職金
 ●マイナスの財産(借金)
  ⇒結婚生活を送るための借金が対象で、例えば住宅ローンなどがこれに当たります。
   個人的な目的のための借金(ギャンブルをするために借りたお金など)は該当しません。借りた本人が返済しなければなりません。

 その他にも教育保険や骨とう品、貴金属なども財産分与の対象となります。
 上記の中で「不動産・年金・退職金」については熟年離婚に関して重要な財産ですので、もう少し詳しくチェックしておきましょう。

退職金が財産分与の対象となる?

 例えばまだ退職していない夫の退職金を財産分与の対象とすることはできるのでしょうか?財産分与は「婚姻期間中に夫婦で築き上げた財産」ですので、今現在手にしていない退職金は対象とならないのでは…?と、思われるかもしれませんが、財産分与の対象となる可能性があります。
 かなり若くして離婚した場合は転職の可能性がありますし、会社が倒産すれば当然退職金は受け取れなくなりますので、退職金を受け取るまでの期間があまりに長い場合は財産分与の対象にならないと考えられます。
 一方熟年離婚などで退職までの期間が短く(約10年以内に退職するかどうかが判断材料となることが多いようです)、上場企業などで退職金の制度もきちんと整っており、いずれ受け取れる可能性が高いという場合は財産分与の対象とすることができる可能性も高くなります。

 受け取れる場合の退職金の金額は、受け取れる退職金の総額のうち、婚姻期間の部分を計算したものになります。結婚する前、離婚した後の部分については対象となりません。
 また、婚姻期間中であっても夫婦関係の悪化により別居をしていた場合は、別居の期間も対象ではないと考えられています。
 しかし、子供がいる場合は別居をしていたとしても片方は育児をしているため協力していないとは言えませんし、同居していても全く家事をしないなど協力していないとされるケースもあります。
 つまりは婚姻期間に限らず、婚姻中の“協力期間”が財産分与を計算するうえで重要だということになります。

年金分割とは?

 次は年金です。
 従来は年金についても財産分与の扱いがされていましたが、平成16年の法改正により、平成19年から年金分割制度が施行されています。この制度により、財産分与とは別の取扱となっています。

 婚姻期間に納付した保険料の納付実績に応じて年金が支払われますので、例えば専業主婦などで保険料の負担が無い場合は納付実績も無いため、受け取る年金が少なくなってしまいます。
 そこで年金分割制度が利用されます。
 年金分割制度には次の2種類があります。
  ・合意分割
  ・3号分割
 合意分割とは、夫婦間の合意によって納付実績の多い方から少ない方に分割する方法です。
 3号分割とは、平成20年4月以降に国民保険の第3号被保険者だった者(専業主婦など)は、平成20年4月1日以降の納付実績について、夫婦間の合意なしに分割が受けられる制度です。
 
 この年金分割の制度を利用することによって、年金を受け取ることができるようになるというわけです。最大50%までの割合で分割されます。

 しかし、年金分割にはいくつかの注意点があります。
まず、年金分割には期限があり、離婚してから2年以内に行わなければなりません。
また、相手方が亡くなってから1ヶ月を経過した後も請求することができなくなります。
3号分割に関しては、第3号被保険者が対象となりますので、相手方が厚生年金または共済年金に加入している場合の配偶者が対象となります。そのため、相手方が自営業者で国民年金に加入している場合は3号分割の対象外となります。

年金分割の制度は複雑ですので、日本年金機構や弁護士などに一度相談することをおすすめいたします。

不動産の財産分与の方法とは?

 不動産は現金と異なり、簡単に半分に分けることができません。
 不動産の財産分与をする際には、以下の方法で財産分与をしてみてはいかがでしょうか?

 ①不動産を売却する
  最も問題になりにくい不動産の財産分与の方法と言えます。
  不動産を売却し現金化して、その現金を等分してしまうのです。
  不動産に限らず車や骨とう品・貴金属なども売却して現金化してしまえば簡単です。
  例え不動産や車などが夫の名義だったとしても、婚姻期間中に協力して築き上げた財産で購入した財産であれば、財産分与をすることができます。

 ②夫婦のどちらかが財産を譲り受ける
  例えば不動産を売却してしまったら妻が住む家が無くなってしまう、車が無いとどこにも移動することができないなど、財産を手放すことができない場合は夫婦のどちらかが財産を譲り受けます。
  しかし財産分与の基本は財産を等分することですので、売却しない場合はそれぞれの評価額を算出して等分することになります。
  例として、不動産の評価額が1,000万円、車の評価額が200万円、預貯金が2,000万円で、妻が不動産と車を譲り受けた場合、預貯金を妻が400万円、夫が1,600万円受け取るといったように結果として等分したことになるように財産分与を行うことになります。

  ここで注意が必要なのが「ローン」です。
  ローンが残っていた場合はローンの金額を財産の金額から引いて財産分与額を算出します。自宅の評価額が2,000万円、ローンの残債が1,500万円だった場合は500万円が財産分与の金額になります。
  また、自宅を妻が譲り受けて夫がローンの返済を引き続きしてくれる話になっている場合も注意が必要です。
  初めは返済をしてくれていても、次第に支払いが滞ることが考えられるからです。

  熟年離婚の場合、支払いが滞り家を出なくてはならなくなったら大変です。
  両親もかなりの高齢のはずですので、既に他界していて家は処分した後だとすると家を探さなくてはなりません。また、家を借りることができたとしても家賃が発生します。
  どうしても家を残したい場合は、返済が滞っても支払うことができるかなど、自分の預貯金や収入を一度よく考えてみる必要があります。

 トラブルを避けたいならば、やはり不動産などは売却してスッキリと清算しておくことをおすすめいたします。

財産分与の時効とは?

 先ほど年金分割に期限があると書きましたが、財産分与にも時効があります。
 財産分与を請求できる期限は、離婚後2年間となります。
 この2年間というのは除斥期間と言って時効と同じく一定期間を経過すると財産分与を請求できなくなりますが、時効のように停止や中断をすることができません。
 つまり、期間を延ばすことができないので、2年経てば全く請求できなくなるというわけです。(2年過ぎていても相手が財産分与に応じてくれれば財産分与は可能です。)
 
 もし2年以内に財産分与の話し合いが終わらないようでしたら、家庭裁判所に調停や審判の申し立てをしておけば、審判の確定までは財産分与の請求が可能となります。

困ったことは弁護士に相談しましょう

 相手が財産を隠しているかもしれない、財産分与に応じてくれないなど困ったことがある時は、一度弁護士に相談してみましょう。
 第三者が間に入ることで話し合いが進むこともありますし、隠れた財産が見つかった倍の対処や裁判になった時も、法律のプロである弁護士が的確な判断をしてくれるので不利益になる可能性が低くなります。
 無料相談を行っている事務所もありますので、まずは一度気軽に相談してみましょう!

まとめ

 熟年離婚の財産分与をする際には退職金も財産分与の対象となる可能性があります。また、年金分割をすることができます。
 不動産や車など現金以外の財産分与は、後々のトラブルを避けるためにも現金化することをおすすめいたします。
 財産分与は2年間の排斥期間が設けられていますので、2年以内に行うようにしましょう。期間内に話し合いが終わりそうにない場合や、トラブルがある場合は弁護士に相談することをおすすめいたします。

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離婚慰謝料弁護士ガイド 編集者

離婚問題に関する記事を専門家と連携しながら執筆中 離婚問題でお悩みの方は是非参考にしてみてください。 また、お一人で悩まれているなら一度弁護士へのご相談を強くおすすめ致します。 今後も離婚問題に関する情報を多数発信して参ります。

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