離婚慰謝料弁護士ガイド

離婚問題専門の弁護士検索・法律相談ポータルサイト

離婚時の年金分割、手続きの流れや注意点

2018年12月04日 公開
離婚時の年金分割、手続きの流れや注意点のアイキャッチ

夫婦が離婚することが決まると、それに付随してさまざまなことを決めなければいけません。

離婚時に決める項目として知られているのは、財産分与や子供が小さい場合の親権と養育費などですが、あわせて忘れずに手続きしておきたいのが年金分割です。

年金分割は、離婚後の年齢にもよりますが、特に熟年離婚の場合は今後の生活に大きな影響を与えることがありますので、きちんと手続きをしておきたいですね。

この記事では、離婚時の年金分割の相場や請求期限、夫婦の仕事の有無によるパターン別の流れについて紹介します。

年金分割の相場はいくらくらいなのか

 年金分割とは、婚姻期間中に支払った年金を離婚時に分割する制度です。

 年金分割の相場とは、すなわち制度で決められている基本額を意味していると考えます。

 年金の基本額は配偶者の年金の50%です。
 
 たとえば夫の厚生年金が月に15万円なら、受け取れる年金は最大で50%にあたる7万5千円という計算になります。

注意しておきたいのは、年金分割は夫の年金を分割して妻が受け取れるというものではなく、夫婦の年収によってパターンが異なるという点です。

つまり、年収によっては妻の年金を分割して夫が受け取るというパターンもありますので、離婚時には双方の年収をもって計算を行います。

夫婦が共働きの場合と、夫が会社員で妻が専業主婦の場合という2つのパターンについて、次の章から詳しく見てみましょう。

 

夫婦が共働きの場合

まず、夫婦とも会社員として共働きだった場合は、夫婦の年金額を合算した上でそれぞれ50%に分割するという形になります。

先ほども述べたように、考え方としては夫婦の年金額を分割するわけですから、年金分割を行うと年収が高い側は自分の年金額を減らし、年収が低い側は自分の年金額を増やすことにつながります。

夫婦共働きの年金分割では、こうした方法で分割したとして月1~3万円の増減が相場と言われています。

互いの年収が近ければ、年金額もほとんど増減はないでしょう。

 

会社員と専業主婦の場合

 では、夫が会社員で妻は専業主婦の場合はどうでしょうか。

このパターンでは、夫には厚生年金記録がありますが、夫の扶養に入っていて外で働いていない妻は厚生年金記録がありません。

そのため、夫の年金額の50%が分割されます。

この場合の年金額の相場としては、月3~5万円前後と言われています。

覚えておきたいのは、夫の厚生年金に扶養として入っていた妻が将来受け取れるのは、厚生年金と共済年金の部分だけということです。

単純に夫の厚生年金の金額の半分を受け取れるととらえている人が多いのですが、基礎年金は対象外ですので注意しましょう。

また、会社によっては夫が厚生年金基金に加入している場合がありますが、こちらも年金分割においては対象外です。

さらに、夫が自営業の場合は、厚生年金ではなく国民年金ですから年金分割の請求はできません。

夫が自営業で妻が会社員なら、厚生年金を支払っている妻が国民年金を支払っている夫に対して年金分割をすることになります。

夫からの請求がない場合はそのままにしていてもいいですが、夫が調停や裁判を通して請求してきた場合は分割しなければいけませんので、注意しましょう。

離婚時の年金分割にかかわる婚姻期間は?

離婚時の年金分割の計算において対象となるのは、結婚してから離婚時までのいわゆる婚姻期間です。

配偶者が結婚前の独身時代に支払っていた年金額や、離婚が成立した後に支払っている年金額は対象期間に含みません。

たとえば夫が厚生年金に30年加入していて、結婚生活が25年だったとすると、厚生年金の加入期間は30年ですが年金分割の計算対象期間は25年です。

婚姻期間が年金分割の計算対象期間となりますから、勘違いしないようにしましょう。

年金分割請求の期限

離婚による年金分割には2種類の制度があります。

1つは合意分割制度です。

離婚が決まった際に、夫か妻のどちらかが年金分割を請求することで、婚姻期間中のネ人を分割する方法です。

最大50%の範囲内で分割割合を当事者同士で決めます。

もう1つは3号分割制度です。

夫の扶養に入っていて第3号被保険者となっていた妻が、夫の年金額の分割請求を行う方法です。

合意分割制度とは違って、夫の合意がなくても妻が請求すれば年金分割が可能です。

ただし、年金分割の対象となるのはこの制度が施行された平成20年4月1日以降から離婚成立までの婚姻期間中の年金額となります。

婚姻期間中の年金額が対象となる合意分割制度とは、請求のための計算対象期間が異なりますから注意しましょう。

ちなみに、夫が会社員で妻が専業主婦の場合、合意分割制度と3号分割制度とをあわせて請求することもできます。

合意分割制度で請求の申請を行うと、同時に3号分割制度も請求したとみなされるためです。

たとえば平成15年4月に結婚し、平成28年10月に離婚したとしましょう。

この場合、合意分割制度によって平成15年4月から平成28年10月までの婚姻期間中の年金額を上限50%の割合で分割請求できます。

さらに、3号分割制度によって、平成20年4月から平成28年10月までの期間に相当する年金額について1/2分の分割請求を行うことができます。

これらの年金分割の請求期限は、離婚が成立した翌日から2年以内です。

ただし、請求期限の特例があります。

たとえば離婚が成立してから2年が経過するまでに審判や調停の申立てを行った場合は、本来の期限である2年が過ぎた後や、過ぎてから1ヶ月以内に審判や調停が確定・成立した場合は、その決定の翌日から1ヶ月以内であれば年金分割の請求が可能です。

期限内に分割請求を行えば、自分の年金を受給できるようになった年から分割分の年金を受け取れるようになります。

ただし、それまでに年金の受給条件である25年以上の納付を行っておく必要があります。

これは自分自身の年金を受給する場合と同じ条件ですから、分割分の年金も受給したい場合はきちんと納めておかなければいけません。

いずれにしても、年金分割の請求には期限があり、期限を過ぎると請求資格を失ってしまいますので、忘れないように請求しましょう。

 

まとめ

年金分割は、離婚時に取り決める項目である財産分与や子供の親権、養育費、慰謝料などと比べると、請求できる権利があることを知らないというケースが少なくありません。

離婚が成立する前後は非常に慌ただしく、また当事者同士の関係が険悪だと財産分与や慰謝料などの取り決めに注力してしまうため、年金分割の請求については後回しにしてしまいがちです。

しかし、年金分割の請求は離婚原因に関係なく履行できる正当な権利です。

夫が会社員で妻が専業主婦の場合であっても、夫が支払ってきた年金保険料は夫婦で協力して捻出してきたもので、いわば夫婦の共有財産と言えるからです。

離婚時には他の項目の取り決めを優先してもいいのですが、請求期限が2年であるということを念頭において、計画的に請求することが大切です。

特に、専業主婦の妻は離婚時に職を持っておらず無収入ですから、それまでの生活レベルを維持するには財産分与とあわせてきちんと請求しておきたいですね。

この記事を参考に、夫婦のパターンによって異なる年金分割の相場や、年金分割の請求の流れ、請求できる期限について把握し、請求しておくようにしましょう。

この記事の著者

編集部の画像

編集部

中立的な立場として専門家様と連携し、お困りの皆様へ役立つ安心で信頼出来る情報を発信して参ります。

この記事を見た人が見ている記事