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離婚だって悪くない!シングルマザーの幸せの掴み方

更新日:2020年04月13日
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 「離婚したいけどこの子がいるから…」、「別れても1人で育てていけるか…」、等、"子どものため"に離婚に踏み出せない方は多いと思われます。
 しかし、愛のない家庭で養育することは、果たして"子どものため"と言えるのでしょうか?
行政には、経済的に不利になる母子家庭のため、各種の支援制度があります。但し、その内容については離婚届を提出したからといって、誰かが教えてくれるものではありません。
 今回は、シングルマザーの実態から行政による助成までをまとめ、本当に"子どものため"になる離婚について考えます。

シングルマザーの実態

 まず、"シングルマザー"、いわゆる母子家庭の金銭面の現状を見ていきます。データは、厚生労働省による平成23年度全国母子世帯等調査結果報告を参考にします。

平均年間収入等

 母子世帯の母自身の平成22年の年間平均収入は、223万円、母自身の平均年間就労収入は181万円、母子世帯の年間平均収入(平均世帯人員3.42人)は、291万円となっています。
 ちなみに、同年の一般家庭の年間平均収入は658万円。母子世帯は、その3分の1の額で生活しています。
※「平均年収」とは、生活保護法に基づく給付、児童扶養手当等の社会保障給付金、就労収入、別れた配偶者からの養育費、親からの仕送り、家賃・地代等を加えた全ての収入額です。

就労収入の構成割合

 地位別年間就労収入等の構成割合を見てみると、就業している母のうち、「正規の職員・従業員」の平均年間就労収入は270万円、「パート・アルバイト等」では125万円になっています。
 仕事の内容別にみると、「専門的・技術的職業」が277万円、「事務」が215万円、「販売」が141万円、「サービス業」が149万円という内訳です。

妊婦

行政によるシングルマザーへの支援

 離婚に限らず様々な事情でシングルマザーになった場合、生活に直結する助成や手当は1つたりとも失いたくないものです。
 中には申請が必要なものも多いので、事前にきっちりと調べ上げ、「知らなかった」を防ぎましょう。

①児童手当

 児童手当は、母子家庭に限らず、支給対象となる子どものいる全家庭を対象としたもので、国が行っている支援制度です。対象になるのは、国内に済む0歳以上中学卒業までの児童です。
 ・3歳未満:月額15,000円
 ・3歳以上:月額10,000円(第1子・第2子)、月額15,000円(第3子以降)
 児童手当は毎年、各自治体への申請が必要ですので、お忘れにならないでください。

②児童扶養手当

 父母が離婚し、どちらか一方からしか養育を受けられない場合に、地方自治体から月ごとに支給される手当です。支給は、子どもが0歳から18歳までの世帯が対象で、申請が受理された翌月から計算されます。
金額についてを分かりやすく図にすると、

↓所得/子どもの数→ 1人 2人 3人
57万円 42,290円(全額) 52,280円(全額) 58,270円(全額)
95万円 35,180円 52,280円(全額) 58,270円(全額)
133万円 28,090円 44,070円 58,270円(全額)
192万円 17,070円 31,360円 44,500円
230万円 9,980円(最低) 23,160円 35,670円
268万円 0円 14,980円(最低) 26,810円
306万円 0円 0円 17,980円(最低)

となります。ここで注意しておきたいのは、所得額が制限額を超えた場合には、児童扶養手当は支給されなくなるという点です。
※所得の計算式
所得=(給与所得控除後の金額)+(養育費の8割)+(8万円)+(下記の諸控除の金額)
・障害者控除:27万円
・特別障害者控除:40万円
・勤労学生控除:27万
・寡婦控除:(一般)27万円/(特別)35万円
・医療費控除等(地方税法で控除された額)

③児童育成手当

 自治体によっては、独自で母子家庭(ひとり親家庭)への支援制度を行っていることがあります。「児童育成手当」は東京都での呼び名で、児童1人につき、月額13,500円が支給されます。
 金額や対象は各自治体で変わってくるので、お住いに近い自治体へ問い合わせしてみましょう。

④特別児童扶養手当

 精神または身体に障がいを有する20歳未満の児童の福祉増進を図ることを目的として、その児童の保護者に対して支給される国による手当です。
 ・1級:月額59,450円
 ・2級:月額34,270円
 こちらに対しても所得制限がありますので、お住いの自治体で確認・申請を行いましょう。

⑤母子家庭・父子家庭の住宅手当

 自治体によっては、20歳未満の児童を養育している母子・父子家庭の世帯主で、月額10,000円を超える家賃を払っている人を対象にした助成制度があります。
 自治体ごとに決まりがあるので、お住いの地域の自治体に確認してみてください。

⑥生活保護

 健康で文化的な最低限度の暮らしを送る、という理念の下、生活保護費が支給されます。生活保護は、ひとりひとりの個人ではなく、世帯単位で支給されます。
 受給するためには、資産や貯金があるか、親族が扶養出来るかどうか、労働が出来るかどうか等、様々な条件があります。
 また、生活保護には、
・生活扶助
・住宅扶助
・教育扶助
・医療扶助
・出産扶助
・失業扶助
・葬祭扶助
の7種類があり、世帯状況によって支給されます。
 受給金額については、お住いの土地、収入、家族構成により異なります。

⑦ひとり親家族等医療費助成制度

 ひとり親医療費助成金制度は、母子家庭等に対し、その医療を受けるのに必要な額を一部助成し、母子家庭等の福祉の増進に寄与することを目的とした制度です。
 ほとんどの自治体で用意されている制度なので、活用をおすすめいたします。

⑧乳幼児や義務教育就学児の医療費助成

  乳幼児や義務教育就学児の医療費助成は、母子家庭(ひとり親家庭)の子に限った制度ではなく、支給対象となる子がいる全家庭が対象です。
但し、年齢基準、通院、入院等により違いがあるので、詳細は自治体に確認してください。

⑨遺族年金

 公的年金に加入している本人が亡くなった際、その子どもや配偶者等に給付される、いわば公的年金の死亡保障制度です。
遺族年金は遺族基礎年金と遺族厚生年金がありますが、母子家庭だと、状況によっては両方を受給することが出来ます。また、遺族である子どもや配偶者の年齢、所得によって給付内容が異なります。

話し合い

シングルマザーの6つの減免、割引制度

 前項では「足される」シングルマザーへの助成を紹介しましたが、ここでは、「引かれる」保障を見ていきます。

①国民年金・国民健康保険の免除

 国民年金には、所得が少なく、保険料を納めることが困難な場合、本人の申請により、保険料を全額、または半額免除する制度があります。

②交通機関の割引

 母子家庭等には、交通機関の割引制度があります。児童扶養手当を受給している世帯は、JRの通勤定期乗車券が3割引で購入出来ます。また、公営バスの料金が無料や割引になるものもあります。

③粗大ごみ等処理手数料の減免制度

 児童扶養手当を受けている世帯には、粗大ごみ等処理手数料の減免制度があります。

④上下水道の減免制度

 児童扶養手当を受給している世帯等には、水道基本料金や料金の一部が免除される場合があります。

⑤非課税貯蓄制度(マル優)

 預金、公債(国債、地方債)等の元本350万円までの利子所得で課税される所得税(通常15%)と住民税(通常5%)を非課税に出来る制度です。通称マル優。

⑥保育料の免除と減額

 母子家庭を支援する制度として、各自治体によるに保育料の免除や減額があります。

ヒヨコ

シングルマザーの仕事

 子どもが小さいと言えど、働かなければ暮らしてはいけません。シングルマザーにおすすめの職種をご紹介します。

介護職

 シングルマザーにとってメリットの多い仕事です。各施設により、シフトの時間が決まっていたりそうでなかったりするので、子どもの成長に合わせて、時短勤務・夜勤・正社員、等と、柔軟な対応が出来ます。
 また、働きながら介護福祉士等の資格も取れるため、子どもが自立した後でも有用です。

保険の外交員

 保険商品の営業業務です。契約数を伸ばせば手当がついたり、勤務時間中のスケジューリングを自分で行うことが出来、時間の融通が利くのもこの仕事の利点です。

家事代行

 専業主婦を続けていた方に吉報です。家事代行は、主婦の経験を行かせる仕事です。働ける日時を設定出来るので、子どもがいても動きやすいのが嬉しいですが、お給料が安めのため、家事代行のみで生計を立てるのは難しいでしょう。

医療事務

 訪れる患者さんの応対、カルテ管理、レセプト(「診療報酬明細書」を作成する仕事)の3つがあります。
 業務内容にあった資格を取ったりと、確実にキャリアップが出来る点が人気の仕事です。

調剤薬局事務

 調剤薬局で保険の確認や明細書の作成を行い、薬剤師をサポートする仕事です。勤務時間と休日が固定されているため、子どもと過ごす時間の確保が出来ます。

シングルマザーの支援制度

 シングルマザーの就職を支援してくれる制度を有効活用しましょう。
 日本全国にある「母子家庭就業・自立センター」という機関では、シングルマザーに向け、相談や職業紹介等を行っています。

終わりに

 今回シングルマザーについて考えたことにより、離婚後の暮らしも「出来ないことはない」と感じ、離婚へ前向きな気持ちを持っていただければ幸いです。
 しかし、離婚後の収入に、慰謝料養育費がある、と考えていらっしゃる方は要注意です。というのも、離婚後に継続的に慰謝料や養育費を払い続ける元配偶者は、20%に過ぎず、すぐに支払いをやめてしまう、というケースが後を絶ちません。
 ですので、離婚の際には弁護士を立て、きちんと公正証書を作ったりと、新生活に向け万全の態勢をとることを強くおすすめいたします。

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離婚慰謝料弁護士ガイド 編集者

離婚問題に関する記事を専門家と連携しながら執筆中 離婚問題でお悩みの方は是非参考にしてみてください。 また、お一人で悩まれているなら一度弁護士へのご相談を強くおすすめ致します。 今後も離婚問題に関する情報を多数発信して参ります。

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