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【弁護士監修】離婚に携わる弁護士とは。依頼者にとって良い弁護士の要素【2】

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弁護士 松野 絵里子 東京ジェイ法律事務所

2018年10月09日 公開
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 前回は話を聞いてくれる弁護士と見通しについて説明をしてくれる弁護士について、お話ししました。今回は、離婚弁護士としてどんな弁護士の資質が魅力的かもっと考えてみましょう。

 

話を聞いてくれる弁護士

 一般的に弁護士に話を聞いてほしいという依頼者は多く、話を聞く弁護士は高齢者と女性に特に人気があります。
 しかし、実際には弁護士が話をうまい塩梅に聞くということは、弁護士のほうではとても難しいことです。というのも、とにかく過去のことをたくさん話したい依頼者がいて、とにかく妻とか夫という相手のことを(積年の恨みがでてしまうので当然ですが)非難して、なぜ自分が離婚したいかとか、どんなに嫌な目にあったか、について話しつづけると止まらない、という依頼者が多いのです。

 そういう話を聞いた結果、離婚事件でよい解決に導けるのであれば、話を聞くことも有意義でしょう。
 しかし、裁判所に出す準備書面に何十年も前のことを20枚も書いたりしても、裁判官は読むのに辟易とするでしょうし、それで何か結果が出るというわけではありません。夫婦喧嘩とか、性格の不一致で起こる問題は、お互いの組み合わせが悪かったということが、多いのです。
 慰謝料も認められないことがほとんどです。そうであれば和解に向けて、現実の条件を早めに提示して相手に冷静に協議の席についてもらうなど、依頼者のためにやるべきことはあるような気がします。そういう水先案内人が弁護士に求められる資質ではないでしょうか?

 浮気、暴力というように一方が悪いこともあるでしょうが、それも長く書くよりは端的な証拠をだして、精神的にどんなダメージを受けたかを簡潔に準備書面に書けばよいのです。長いものが必要なことは、あまりありません。証拠分析の緻密さのほうが、ずっと大事です。

 もちろん、依頼者にとって話を聞いてくれる弁護士であることで信頼を構築できることもあるので、聞くことは大事ですが、弁護士の側では聞いたことをどう構成して戦術として使うかについては、冷静な判断が求められます。
 依頼者がいうままに、整理されていない準備書面を書いてしまうと、不意打ち的に自分の依頼者に不利な認定に使われることがありえます。

 例えば、相手の悪口をとにかくたくさんと書いてしまった結果、破綻の認定がされてしまって本当は、離婚はすぐにはしたくなかったのに、認容判決になってしまうということがよくあるケースです。
 また、相手を一方的に非難するばかりであることが、親権を争っている場合に監護者として適切ではないのではないかといった印象を持たれることもありえます。

 ですので、弁護士が自分の話を聞いてそれをどう戦略的に使ってくれるのかについては、依頼者の方も気をつけていたほうがよいでしょう。

 

同情してくれる弁護士

 優しい弁護士とか同情してくれる弁護士は、いつでも人気があります。優しくて、自分の言ってることに賛成してくれて、同情してくれる、大変な思いをしたねと言ってくれる、話をするとすっきりする、こんな優しい人には会ったことがない・・・・そういう弁護士さんはもちろん人気が出ますよね。

 でも、本当に同情してしまったら、弁護士としてきちんとした仕事ができるのでしょうか、これには疑問があります。本当に感情移入してしまったら、準備書面を冷静に作ったり、戦略を練ったりできなくなることがあると思います。
 弁護士でも親族の事件をやらないようにしている人が多いと思いますが、それは依頼者との距離間が大事だからです。

 前述の話をよく聞いてくれる弁護士さんにも通じるものがありますけれども、いかに辛い思いをしたかといったことをひたすら書き、冗長な書面を作成したところでそれは訴訟の中で効果をだせないことが多いのです。
 依頼者の本当の気持ちとしては、早く解決させて離婚して新たな暮らしをしたいという要望が強いけれど、つい話をすると辛い経験の共有をしてもらいたくなる・・・というようなことも多いでしょう。
 依頼者のほうで、やっていることと、欲しいものにギャップがあることが、往々にしてあるものです。そんな状況で、弁護士が友達のようにひたすら同情しているだけでは、事件の解決に導くことができない、事件が進まないということになりえます。依頼者の本当の気持ちとか、ニーズを引き出すために、目的意識をもって感情移入をしていくというくらいの弁護士の側での「余裕」が必要であるように思われます。

 依頼者のほうも、同情してくれる弁護士については、友人以上の機能を果たしてもらえているか、再検討してみたほうがよいかもしれません。

 

いろいろ決めてくれる弁護士

 自分で決められない依頼者というのはかなりいます。特に、被告・相手方として離婚を求められたときです。どうしたらいいかわからない、慰謝料は500万円もらえたらいいのか100万で我慢するべきなのかわからない、いつ決断するべきなのか分からない、調停がいいのか訴訟にまで進めたほうがいいのかもわからない・・・・依頼者は、わからないことだらけですよね。
 だから、どんどん決めてくれる弁護士、絶対こうした方がいいよと言ってくれて、グイグイ引っ張ってくれる弁護士もかなり人気があります。リーダーシップのある弁護士と言い換えてもよいでしょう。

 しかし、そんなリーダーシップも行き過ぎの場合もあります。例えば、法律相談に来て、調停離婚をしたんだけれどもさらに慰謝料請求できないかというような相談をする方がいらっしゃいます。
 納得して、調停離婚したのではないのか、その時の清算条項があるからもう慰謝料請求はできないのだ、と説明しても「なぜ?」という顔をしてしまう相談者がいるのです。
 そんな方には、ではなぜ調停離婚してしまったのか?と聞くと、当時の弁護士が絶対にここで離婚した方がいい、これ以上お金は取れない、とはっきりと離婚を進めたというのです。
 それに従ったと・・・・。でも、本人はまだそこに納得できていなかったから、その後相談にくるということになっているのでしょう。

 離婚というのは、人生にとっては大きな決断ですが、だからこそ道標がほしい、リーダーシップのある弁護士に導いてほしいのでしょう。でも、弁護士に決断してもらったら、後でよく考えたら納得できないということになるでしょう。

 やはり個人の問題なので、離婚という大事なことは、自分で決めるべきなのです。
 弁護士は、あくまでもその材料を与えるという立場で一歩下がったところにいるべきです。
 依頼者が、自分で決めていくらだけのエネルギーを持てるよう、サポートできる弁護士、それがよい離婚弁護士だろうと思うのです。

 

結果を出す弁護士

 当たり前ですが、どんな弁護士が良い弁護士かといえば、どんな事件でも結果を出す弁護士です。(おまけに報酬が安いとなおよいのでしょうが・・・・)。
 でも、さて、離婚事件での「結果」とは何なのでしょうか?親権を取ることなのか、慰謝料をたくさんとることなのか、とにかく早く離婚することなのか、離婚を引き延ばすことなのじゃ・・・・。
 それは依頼者の年齢や性別やその人の環境、考え方、仕事の状況、子との関係などの色々なことによって決まります。結果と言っても、依頼者が必要とする結果、望ましい結果と、そこにいたる道のりは人によって様々です。

 さらに、「好ましい結果」とご本人が思っている結果が長期的にはそうでないこともあります。面会なんてしないから面会の条項なんていらないと思っていても、後で、再婚もしないまま子供にすごく会いたくなるお父さんもいるでしょう。
 そんなお父さんなら、あのとき面会なんていらないと言ってその後も会わないでいたため、今後の面会が難しくなってしまったという場面で、「あの時。急いで離婚したいと思ったのは間違いだった・・・」と思うかもしれません。

 離婚したくなくて未練だらけで、調停離婚も拒否し、訴訟でやっと認容判決がでるまで弁護士が頑張ってくれたという場合でも、それが30代の女性依頼者であれば、そのような引き延ばしの戦術は、依頼者の本当のニーズにあっているのでしょうか?
 後で考えれば、依頼者本人にとっても5年を無駄にしたということにならないでしょうか?

 結果を出すこと自体が、そもそもできないような依頼者もいます(有責なのに離婚したくないという依頼者など・・・)。

 依頼者にとって最も好ましい結果、どんな弁護士も離婚事件をうけるからにはそれを目指して切磋琢磨するのでしょうが、それもまた一筋縄ではいかないわかりにくいものなのです。

 納得できる結果を弁護士と実現するには、常に依頼者自身が自分の人生のなかでその離婚というものをどういう位置づけで考えるかについて、ビジョンをもっていること、そして、そのビジョンを弁護士と共有することが重要でしょう。
 また、そういうビジョンを持てるように誘導する弁護士が、結果も出せる有能な弁護士だといえるように思います。

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松野 絵里子 (弁護士)東京ジェイ法律事務所

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