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熟年離婚という地雷:あなたの家が戦場化する前にのアイキャッチ

熟年離婚という地雷:あなたの家が戦場化する前に

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 昨今よく耳にする“熟年離婚”。「長年何の衝突もなく、平和に連れ添ってきた私たちには無関係」―そう思っている人こそ、要注意です。というのも、熟年離婚の一つの特徴は、「突然(の申し出)」だからです。
そこで今回は、熟年離婚の概要を知り、それを未然に防ぐ方法をご紹介していきたいと思います。老後は穏やかに過ごしたいもの。既婚者の方は全員要チェックです。

熟年離婚

 さて、一口に“熟年離婚”と言っても、「年をとってから離婚することかな?」と、なんとなくのイメージしか浮かびません。ではまず、“熟年離婚”を可視化しましょう。

熟年離婚の定義

 法律上の定義はありませんが、熟年離婚とは、「結婚20年以降に離婚すること」を指すのが一般的です。(子どもの養育を終えた後、という考え方もあります。)
 ですので、例えば中高年同士が結婚して10年経ってから離婚した場合は、熟年離婚とは呼びません。

熟年離婚の件数

 厚生労働省の統計によると、年間約64万組が結婚し、約22万組が離婚しています。そして熟年離婚は5万件以上。つまり、離婚の総件数の約1/4が、熟年離婚なのです。
 また、1970年の熟年離婚数は5,416件。女性の社会進出など、時代の潮流とともに、熟年離婚は急激な増加を遂げてきたのです。

熟年離婚の原因

 離婚には費用や煩雑な手続といった労力がかかります。しかし、それを賭しても離婚がしたい、そう思わせる原因とは一体なんなのでしょうか。

1.「相手が家にいるだけでストレス!」
⇒夫または妻が定年退職すると、ふたりで家にいる時間が長くなります。すると、些細な価値観の違いにイライラ…。特に専業主婦は、「主人在宅ストレス症候群」という病気にまで発展してしまうケースもあります。

2.「精神的・肉体的虐待から解放されたい!」
⇒いわゆるモラルハラスメント、DVです。妻が夫から罵られたり、無視されたり、手を上げられることが多いように思われますが、実は夫に対し、「『死んでしまえばいいのに』という妻の言葉がずっと引っかかって耳から離れない(結婚21年)。」等と、妻から精神的虐待を受けていることが少なくありません。

3.「不倫された! 許せない!」
⇒現在進行系の不貞行為はもちろんですが、15年前の一度だけのことでも、熟年離婚の原因になります。時効が成立していますので、それだけを理由に離婚は出来ませんが、例えば「子どもが自立するまで我慢していた」とされれば、話し合い(協議離婚)で優位に立てそうです。

4.「舅・姑と合わない、もう耐えられない!」
⇒これが顕著に現れるのが嫁姑問題です。初老の兆しが見えてなお、姑の顔色を窺い、しかも旦那が取り持ってくれないとなると、婚姻生活のストレスは計り知れません。

5.「相手の親の介護はしたくない!」
⇒夫婦が50歳を超えると、互いの父母に関する介護の問題が出てきます。自分の実親ならまだしも、相手の親の介護となると、(奇跡的な良い関係が築けていない限り、)また別の苦労が生じます。超高齢化社会である日本では、社会問題に発展する重要課題です。

6.「見境なくギャンブルにハマっている!」
⇒お小遣いの範囲内でのギャンブルは問題がないようにみえますが、いつまでも働いていた頃と同じ感覚で浪費し、持て余した時間とストレス解消でお金をギャンブルにつぎ込み、借金でも抱えた日には目も当てられません。
なお、「浪費」と「借金」はギャンブルに限らず、それ単体でも熟年離婚の原因になり得ます。

7.「家事の分担をしてくれない!」
⇒定年を迎え家にいる時間が増えたにも関わらず、全く手伝おうとしない夫、あるいは妻。
 手伝わないだけならまだしも、テレビの前で寝転んで、掃除機をかけるのにも邪魔だという声を聞きます。「主婦/夫業には定年がない」ということに注意です。

8.「相手の介護なんて絶対にイヤ!」
⇒「これから先、相手が要介護者になった場合、自分は愛情を持って尊敬を込めてお世話をできるだろうか」。この一言に尽きるのではないでしょうか。
 夫婦のかたちはあれこれですが、最後は、自分の老後と引き換えにでも相手を支えられるほどの愛があるのかどうかで、熟年離婚に次いで生まれた「介護離婚」へのベクトルが決まってきそうです。

9.「子どもが自立して自由の身になった!」
⇒今でこそシングルマザー、シングルファーザーが増えてきましたが、熟年離婚を考えている、今この記事を読んでいただいているユーザーの皆さまの世代ですと、「両親の離婚」に対して、積極的でない方が多かったのではないでしょうか。
 子どもの手が離れて出来た時間を、自分で自由に使いたい、という考えより、子どもの自立後が離婚の適齢期と考える方が多いようです。

10.「話を聞いてくれない!」
⇒会話がないということに不満に感じているのはほとんどが女性サイドです。もちろん、会話がなくても一緒にいられるだけで幸せ、と思っているカップルもたくさんいらっしゃるとは思いますが、離婚相談で夫が「会話はある」と思っていても、妻が「会話がない」と思っている事案が多いので、温度差に注意しなければなりません。

結婚証明書の破棄

“三行半”はどちらから?

 一昔前までは「夫が定年退職→家にいる→フラストレーション」という流れにより、妻が夫に対して三行半を突きつける、というプロセスがセオリーでした。しかし、10年前は妻側からの申し出が80%だったのに対し、今では60%にまで下がっています。

知りたくなかった“妻の実態”

 男性が別れを切り出す原因として多いのが、妻の生活態度です。仕事に打ち込み続け定年を迎え家に入る。すると、妻の家事労働への怠慢さや、向上心の低さを目の当たりにし、「妻と老後を過ごす」イメージが崩壊した、というケースが少なくありません。

「私以外に好きな人が出来たの?」

 また、コンビニや外食産業が発展した今、男性が一人で生活を送る難しさも激減しました。例えば洗濯なら、一つボタンを押せば何時間か後にはふわふわに仕上がる時代です。
そのように家事が簡易になったため、短絡的に好きな人、恋人が出来たから別れたい、ということでなく、自分らしい老後を大切にするために自由になりたい、と考える男性が増えてきたのです。

ウェディングケーキ

熟年離婚を回避する方法

 では実際に、「熟年離婚」をせずに、パートナーと穏やかな老後を送るためにはどうしたらよいのでしょうか。

男性編

・「家事」を手伝う

⇒実はこれは、実際には手伝わなくともよいのです。
 どういうことかと言いますと、「家事」は賃金の発生しない労働です。つまり、成果物はありません。にも関わらず、目に見えないからといって、「主婦なのだから家事をこなして当たり前、完璧にこなせ」という言動をしてしまうことが最も危険です。
 そこで有効なのが、実際には手伝わないけれども、「○○やってくれたんだね」「いつもありがとう」と声をかけることです。これだけで女性は、「評価されている」と感じることが出来ます。

・「言い回し」を工夫する

⇒女性からの熟年離婚の動機として多いのが、暴力です。手を上げるのは言語道断ですが、「言葉の暴力」こそ気をつける必要があります。言葉の暴力とは、バカ、ブス、といった単語に限らず、「料理が下手くそだ」「一緒に寝たくない」「話したくない」など、拒絶したり罵ったりするフレーズも該当します。
 「今日のご飯は失敗?」「別々の方がゆっくり眠れる」「疲れているから話は明日聞く」など、言い回しに気をつけましょう。

・「気づく」ためのコミュニケーション

⇒熟年離婚でよくあるのが、妻が「もう100回以上言った」というのに対し、夫が「寝耳に水だ」というケースです。そう、女性は気づいて欲しがるものなのです。
 しかし男性からすると、些細なことに気づくのは難しいでしょう。ですので、コミュニケーションが重要になります。情報を共有すれば話が内容が濃くなることによって話す時間も短くなります。結果、だらだらと長い話を聞かなくてよくなりますので、自分のためにもなるでしょう。

女性編

・「専業主婦だから」という言葉に逃げていないということを伝える

⇒『妻の実態』にも記しましたが、夫は「自分は一生懸命働いているのに、妻は家事さえ適当にやっている」と思うものです。
 しかし実際、家事は大変なものです。恩着せがましくアピールするのは逆効果ですが、「家事さえやればいい」と思ってはいない、という姿勢を見せるのは効果的です。

・「女性らしさ」をあきらめない

⇒いくら長い付き合いでも、極論ですが、裸で家の中を歩き回ったり、おならをしたりすることは避けたほうがいいでしょう。夫は、毎日オシャレでメイクもばっちりした女性と仕事をしています。
 もし二人の間で「今更…」「もう無意味…」と思って「綺麗」への努力を怠ってしまったとしても、「小奇麗」でいることは、夫はもちろん、自身の活力のためにもなります。

・「必要」とされる存在になる

⇒妻は、もちろん妻であり、母であり、嫁であり、女です。何足のわらじを履きこなすのは容易ではありませんが、シーンごとにその役割を果たし、夫に「なくてはならない人」と認識させられれば今後も安泰でしょう。

終わりに

 熟年離婚をするとなると、公的手続はもちろん、共有財産の処分、年金、退職金、など、煩わしいことばかりですし、何より、せっかくの自由な時間を孤独に過ごすことになるかもしれません。
 熟年離婚を回避することを「終活」の一つとして捉え、もし万が一相手から突然の離婚の申し出があった場合は、話し合いを重ね、時には弁護士に頼り、建設的な関係の再構築を目指すのはいかがでしょうか。

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編集部

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