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国境を超えた愛のなれ果て:“国際離婚”は大変すぎる!

2018年03月13日 公開
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 グローバリゼーションが進む日本において、共に増えているのが国際結婚と国際離婚です。国際離婚とは、
① 双方もしくはどちらかが、日本以外の国籍を有している夫婦の離婚
② 日本人同士の夫婦でも、住所地が外国である夫婦の離婚
を指します。
 国際離婚では、外国の法律等が関係してくるため、非常に複雑な法的問題が生じる場合が多く、手続も煩雑です。そのような中、今回は、①双方もしくはどちらかが、日本以外の国籍を有している夫婦の離婚について考えていきたいと思います。

約半数が離婚!国際離婚の現状

 増加する国際離婚ですが、その実体はどのようなものでしょうか。離婚率をご覧ください。

日本人夫婦 夫日本人/妻外国人 妻日本人/夫外国人
結婚数 660,639 23,800 7,258
離婚数 227,630 13,710 3,519
離婚率 34.5% 57.6% 48.5%

平成17年から25年の平均離婚率


 理由は多岐に渡りますが、日本人の離婚率が約3組に1組と言われるのに対して、国際離婚は約10組に5組が離婚しています。

離婚の原因を知る

 ここでも、離婚の原因を日本人と国際カップルに分けてチェックします。

日本人夫から
日本人妻へ
日本人妻から
日本人夫へ
日本人妻から
外国人夫へ
1位 性格の不一致 性格の不一致 性格の不一致
2位 異性関係 暴力をふるう 暴力をふるう
3位 異常性格 浪費する 生活費を渡さない

 このように、理由は日本人と国際カップルには大差がないことが分かります。そこで、ランキングのみでは分からない、国際離婚の主な原因7つを詳しくご紹介したいと思います。

文化の違い

 結婚当初はお互いにお互いの文化について理解しようと努めるものですが、年数が経つことにより、その気持ちは薄れていきます。そして行事にも無頓着になります。
 特にトラブルとして多いのが、信仰している宗教です。多くの日本人は無宗教で、外国人からすれば何も信仰していないことは信じられませんし、逆に日本人はどうしてそんなに入信出来るのかが理解出来ません。
 空港等に、主にムスリムのための「Prayer Room」があることに驚いた方もいらっしゃるでしょう。
※Prayer Room…ムスリム(イスラム教徒)のための、祈祷室

言葉の壁

 どんなに相手の言語を学んだとしても、言葉の壁はなかなか攻略出来ません。特に怒った時、悲しい時といった冷静さを失っているシーンで、外国語を話すのは苦痛です。
 他のシチュエーションとしては、相手が英語を喋ることが出来、こちらも英語を話せれば2人の理解は可能ですが、相手方の親戚が英語を話せなかった場合、コミュニケーションをとることが難しいでしょう。

お金の価値観

 相手方が発展途上国出身であったりすると、日本人の生活レベル等、どこにお金をかけるかについて衝突することがあります。
 先にも触れましたが、信仰心が高く宗教行事を大切にするような人であれば、暮らしの質は低くても宗教関連にはお金を惜しみなく使う、等、価値観の差異に戸惑いがちです。

子どもの育て方

 日本人でさえ家庭によって違う子どもの育て方。その比較対象が外国となれば、子どもの育て方は自ずと変わってきます。
 例えば褒めて伸ばすのか、厳しく律するのか、家長を敬うか、幼児を優先させるか、等、育て方の違いによって言い合いになることもあるでしょう。

病気になった時の対処法の違い

 日本の医療体制は世界でも高い基準を誇ります。それを当然だと思っていると、諸外国の「民間療法」や「言い伝え」等、相手方が驚くべき行動に出る可能性があります。
 特に自分自身の病気ならなんとか出来ますが、子どもが体調を崩した時の手当の仕方等で揉めてしまうこともよくあるようです。

親密すぎる親戚付き合い

 親戚付き合いは国によって距離感が異なります。ちょっとしたイベントの度に盛大なホームパーティを主催しなければならないとなると、準備から当日まで気を遣ってばかりで嫌気が刺すでしょう。
 たまには夫婦2人でゆっくりしたい…そんな気持ちが芽生えるのも無理はありません。

日本人への偏見、思い込み

 日本人は偏見を持たれやすい民族です。このご時世になっても、SAMURAIがいると本気で信じている人がいるほどです。
そのような思い込みから、外国人男性は日本人の女性は、昔ながらの、奥ゆかしく、3歩後ろを歩き、夫を立ててくれる……と盲信している人がいます。それゆえ、結婚後ひどくワガママに振る舞ったりする外国人男性は少なくないそうです。

離婚の話し合い

国際離婚に適用される法律とは

 国と国の問題ともなり得る国際離婚は、適用する法律も変わってきます。どちらの国の法律に従うかは、配偶者の居住地で状況が異なります。

配偶者が日本にいる場合

 日本で外国籍の配偶者と離婚する時は、日本の法律が適用されます。これは国際結婚で重国籍になっている場合も同様で、日本に住んでいれば、日本の法律が優先され、日本方式で離婚を進めていきます
 この根拠は、国際私法の法令に準じます。
※国際私法とは、国際結婚のように複数の国の法律が抵触する場合に、どちらの法律に基づくべきかを定めるものです。詳細は後述します。

配偶者が外国にいる場合

 これは、配偶者がどの国にいるかによって、様々なケースが考えられます。ここでは代表的な、
(1)日本人と外国籍の夫婦が第三国に住んでいる
(2)日本人が日本に住み、外国籍の人が日本以外の国に住んでいる夫婦
についてご紹介していきます。
 まず、(1)のケースでは、その夫婦が住んでいる国の法律が適用されます。つまり、日本人の妻とアメリカ人の夫がカナダで生活している場合、カナダの法律に従う、ということです。
 次に(2)ですが、このケースは日本の法律が適用されます。根拠は国際私法ですので、国際結婚の離婚についての日本の国際私法を見ていきましょう。

・夫婦の本国法が同一であるときはその法により、
・その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、
・そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法による。
・ただし、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは、離婚は、日本法による。

と、定められています。これこそが、(2)の論拠で、日本人の妻とアメリカ人の夫のうち、妻は変わらず日本に、夫のみがカナダに住んでいれば、離婚の準拠法は日本の私法になるということです。

注意点

 日本以外で離婚が成立すれば、その国の日本大使館等で日本の離婚届の提出といった手続を忘れないようにしましょう。もしくは、帰国後に市区町村役場で同様の手続を取ることを選択しても問題ありません。
 必要な書類は、和文訳が添えられた離婚裁判の判決文か離婚証明書、日本の離婚届出書です。相手国での判決が確定し離婚が成立した場合も、ほぼ同様の手続が必要です。

離婚調停

国際離婚ならではの苦労

主な離婚原因をご紹介したところで、改めて国際離婚の大変さを見ていきます。日本人同士ですら大変な"離婚"。パートナーが外国人とは、どのような煩雑さがあるのでしょうか。

離婚に至るまでの意思確認

 本気で離婚の相談をしているのに、冗談だろうと取り合ってくれなければ、逆に何も言わずに母国へ帰ってしまう人もいます。
 さらに、離婚の条件で揉めて調停や裁判になっても、日本語が難しいので裁判所に来ない、来ても通じない、等、お互いがどれくらい本気で意思表示しているかを確認するのも簡単ではありません。

日本における離婚手続

 離婚が決まっても、離婚届の提出だけは離婚出来ません。市区町村役場に行き、離婚届の他に必要書類を何通も用意しなければなりません。

相手国での離婚手続き

 日本での手続が完了しても、相手方の母国での手続もしなければなりません。方法や必要は一概には言えませんが、日本国内にある相手国の大使館で住む場合と、相手国まで行かないと手続が出来ない場合があります。
 また、宗教上の理由で離婚が認められていない国もあります。その点は要注意です。

ビザ

 相手方が結婚によって取得したビザは、離婚と同時に無効にはなりませんが、更新が出来なくなります。更新前に母国へ帰るのであれば問題はありませんが、日本に留まりたい場合は在留資格の変更手続が必要になります。
 中には定住ビザ目的で子どもの親権を得ようとする相手方もいますので、きちんとした話し合いを持つ必要があります。

慰謝料

 国際結婚でも、日本に住んでいた場合は、離婚の慰謝料決定も日本法が適用されます。しかし、相手方が帰国してしまうと慰謝料の請求はかなり難しくなります。調停や裁判の書類を基に相手国で弁護士を頼むことも出来なくはありませんが、費用面からみても、ほぼ絶望的でしょう。

養育費

 慰謝料と同様に、母国に帰った相手方に養育費を請求するのは困難です。

親権

 国際離婚の際に親権でもめるのは、(α)子どもがどちらかの国で暮らすと、なかなか会えなくなる、(β)未成年の子どもがいるとビザの取得が容易、という理由からです。特に(β)の場合は、単なる親の都合です。子どもの福祉を考えた話し合いにすべきでしょう。

子どもの連れ去り

 調停や裁判が長引くうちに、相手方が子どもを自分の母国へ連れ去ってしまうということがあります。また、親権者になれなかったことにより、連れ去ることがあるのも同様です。
 外務省を通じて相手国に子どもの返還要求することも出来ますが、子が相手国にいる以上、裁判はその国で、その国の法律に基づいて裁判が行われます。そのため、子どもの連れ戻しは困難を極めます。

楽しそうに笑っている男の子

困った時はどうしたら?

 この記事をお読みいただいているということは、国際離婚で悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

周囲に相談する

 これには日本人同士の離婚も含まれますが、特に国際離婚の場合は、相手方の国籍と同じでなくとも構いませんので、外国人の友人・知人に相談することが1つの手です。
 相談相手の方がおっしゃる"文化の違い"と、その"受け止め方"、を理解できれば、もう少し寛容になれるかもしれません。
 くれぐれも1人で抱え込み、ループにはまらないように気をつけてください。

気持ちをより表現する

 日本人はボディランゲージもなく、シャイな国民性で気持ちをストレートに伝えることに抵抗があります。
 しかし、相手が日本人でも「伝ってこない!」と言われる愛の感情を、外国人のパートナーに対してぶつけてみてください。『言わなきゃ伝わらない』は、日本人であれ外国人であれ同じ意味と効果を持ちます。

弁護士に相談する

 残念ながら上記を遂行しても関係の修復が出来ない、と離婚を断定された場合には、国際離婚に向け弁護士に相談することが不可欠です。なぜなら、離婚に関する案件は外国語で書かれていることが多いため、契約書類を読み違えたり理解出来なかったりします。
 そこで、"○○国際法律事務所"のような、ボーダーレスな事案に得意な弁護士事務所を選ぶと非常に力になるでしょう。

終わりに

 国際法律事務所であっても、言語によっても弁護士の得意分野は変わってきます。最もスマートな離婚が出来、最もよい条件の離婚が出来る弁護士に出会えることを願っています。
 ですが、楽しかった日々のことも忘れないでください。

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編集部

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